
『諦めない生き方』
の出版記念講演が京王プラザホテルで行われました。
聖路加国際病院理事長の日野原重明先生が応援講演して下さったこともあり、定員350名を約50名上回る方々がご来場下さり心より御礼申し上げます。
また、講演後多くのメールやお便り、更には主催者側の準備したアンケートへのコメントを頂き併せ御礼申し上げます。
先週は通常の活動に加えて週末まで中、小規模の講演に複数出席する日々を送っていましたので皆さん方に対する御礼が遅れましたことをお詫びします。
7月3日は講演時間が40分と短かったので、お話できることは限られていましたが、私の辿ってきた治療を振り返り日本の現代医療体制の総合医療の問題点について、私の体験に基づき述べさせて貰いました。
私の元に届いたお便りは、実際に聴講されたご本人若しくは関係者が癌を患った経験をお持ちの方や医師を始めとする医療関係者が少なからず含まれていましたが、皆さん異口同音に当日私が述べた
『日本の現代医療体制は個別医療に加えて総合医療を充実させていくことが必要不可欠である』
という点に関して賛同して下さいました。
14日、15日は2012年国際癌フォーラムにゲストスピーカーとして参加して、15日に発言した後パネルディスカッションにも臨みます。
癌の様に身体と心をひとつとして治療することが必要不可欠な病でも、身体と心を切り離し、さらに身体をパーツに分けてそれぞれの医局はパーツの専門家として自分の守備範囲のパーツしか診ない、という現在の医療体制は抜本的に見直されなければなりません。
欧米医療先進国では私のような病の治療をする場合、身体の癌全体のことが分かる腫瘍内科医、特定部位のの癌の専門医に加えて心のケアをする精神科医若しくは診療内科医がチームを結成して治療にあたります。
これは別に特別なことをやっているのではなく、当たり前のことをやっているに過ぎないのです。
癌の様に身体の多くの部位に転移再発が疑われる病は、単に原発巣(発症部位)の医師が主治医として診るだけではなく、全身の癌のことが分かる腫瘍内科医主導の下、患者の治療を行っていくことが必要不可欠です。
また、身体と心は切り離すことは絶対に出来ないのです。
癌の転移再発他いろいろな不安に襲われ押し潰されそうになる精神状態を積極的に診ていこうという医療体制の遅れも目を覆わんばかりです。
癌との闘いは欝との闘いと言っても過言ではないのです。
身体と心を切り離した治療や身体をパーツに分け、全体としてではなく各医局の医師たちが自分たちの守備範囲のパーツに病んだ患部、病んだ臓器が有るか無いかだけを診る癌治療の本質からかけ離れた治療方法は抜本的に見直されなければなりません。
私の連載していたブログは、日本語と英語の『癌との闘い』がクローズアップされ出版にもつながりましたが、ブログの政治、経済、国際問題、教育問題他を通じて訴求してきたことは
『日本の村社会体質からの脱却の必要性』
です。
私の言う 村社会は
*全体の利益よりも自分の属している集団の利益を最優先する体質。
*同じ類で群れあい異質なものを受け入れることを拒む体質。
で定義しています。
残念ながら、日本社会は大人の世界のみならず子供の世界にまで 村社会体質 が色濃く反映されていると感じます。
いじめ問題 などはまさに子供の世界の中で 異質なものを受け入れることを拒む体質 の典型的な例だと思っています。
日本の医療界は私が学生時代に読んだ小説 白い巨塔 の体質が抜け切れていないどころかそのまま継承されている様な気がします。
今後とも最も優先すべき利益は自分たちの利益ではなく 『患者の命』、『患者の利益』 ということを機会あるたびに声を大にして言って参ります。