改善の必要性

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大型連休が始まり各地で交通事故のニュースが報道されています。

普段長距離運転をしないウィークエンド・ドライバーが俄かに渋滞の中長距離を運転すれば、当然のことながら疲れも出て事故を起こす可能性も増えると思いますが、それがプロの観光バスの運転手が疲れて居眠り運転して事故を起こしたとなると話は別です。

4月29日に群馬県で金沢発東京ディズニーランド行きの高速ツアーバスで痛ましい事故が起こりました。

亡くなった7人と怪我をした39人の人たちには本当に何と申し上げていいか分かりませんが、助かった乗客のその後の取材に対するコメントで運転手の異常な行動がいろいろ報告されています。

運転手自身も居眠りをしていたと話しているそうですが、乗客も

『急ブレーキを何回も踏んで怖かった』、『休憩中には運転席に突っ伏して寝ていた』

などと話しています。

総務省が2009年に貸し切りバス運転手を対象にしたアンケートで、約9割が睡魔に襲われたり、事故に繋がりかねない『ヒヤリとした経験』や『ハッとした経験』をしたと答えていたとの調査結果です。

総務省は2010年に運転手一人の一日の最大運転距離の基準を『670キロ』とする国土交通省に距離の短縮を含めた措置をとるように求める趣旨の勧告をしたにも拘らず、改善されていなかったということです。

私は2008年にステージ4の中咽頭癌が発見され癌の三大治療を受けましたが、退院後三ヶ月目ぐらいから身体に様々な異変が現れ始めました。

その一つがかつて経験したことのない立ち眩みと眩暈(めまい)でした。

ある時夜中に洗面所に行こうと思って起き上がった瞬間意識を失いそのまま倒れましたが、運悪く後頭部を机の突起した部分にぶつけ床一面が血だらけになったことがありました。

その後も数回同様に起き上がった瞬間に気を失いましたが、運良くベッド側に倒れたため大事に至りませんでした。

その原因究明には数ヶ月かかり、その間病院の様々な医局で精密検査を受けましたが原因が分からず非常に精神衛生の悪い日々を送りました。

数ヵ月後に原因は特定できないまま、

『恐らく左首リンパ節を廓清(かくせい=取り除く)したときの手術痕が硬くなり、頭に上る血流が悪くなり瞬間的に気を失う状態になったのであろう』

という所見が出ました。


確かに起立時の血圧の上の値が80を切っていることもしばしばで二年間は血圧の上の値が100を超えることは殆どありませんでした。多くの人達とは逆に血圧を上げる薬を二種類服用していました。

医師からは、万が一運転中に同様の状態が起きたら大変なので症状が出なくなるまで運転は差し控えた方が良いと言われたので、その日から運転は差し控えました。

私としては自分のことより、もし運転中に気を失うようなことがあり、その結果事故を起こして相手に迷惑をかけることを避けたかったからです。

バス会社の代表が

『法令違反ではないがこういう結果となったからには正しい運営方法ではなかった』

という趣旨の発言をしていました。

別のバス会社の人間は

『以前は貸切だと40万円から50万円が相場だったが今は25万円前後なので数で稼ぐしかない』


と。

双方の意見ともとても短絡的な意見に聞こえました。

顧客は別に価格だけで物事を決定するわけではなく、あくまでも費用対効果を求めて最終決定するわけです。

無論、その中で価格はとても大きな要素ですが、全てにおいて安全を無視した価格競争は必ず失敗します。

私が経営していた会社は、

『北欧を中心としたヨーロッパのモダン・カジュアル家具をヨーロッパのオリジナリティーを損なうことなく日本の居住環境、日本人のライフスタイルに合うようにデザイン、生産、輸入、販売を手掛ける』

暮らしをデザインする会社で、その分野では日本におけるリーディングカンパニーでした。

グッドデザイン賞を初めとする数多くのデザイン賞を毎年受賞したため、当社はどちらかというとデザイン面で有名な会社でしたが、デザインと同様に品質及び環境に対する配慮に比重をおいていました。

当時住宅産業、インテリア業界では表面材で塩化ビニールの使用が一般的でしたが、塩化ビニールは燃やすと有毒であるCo2を排出しひいては地球温暖化の原因にもなります。

私は声高に

『日本の住宅業界とインテリア業界から塩ビをなくすべき』

とことあるごとに言い回っていました。

当時まだ環境に対する配慮が今ほど厳しくなかったことと塩ビが廉価で加工しやすい主力表面材だったので、業界から袋叩きに合いました(笑)


しかし

『我々の言っていることが道理だ』

と信じて当社商品は塩ビを一切使用せず、仮に燃やしても有毒ガスの発生は起こらない表面材を使用し続け、それを徹底的に消費者に訴求して行きました。

結果的に時代も味方してくれ我々の当社の主張が徐々に認められ当社はデザイン面のみならず品質、環境面を重視する会社として高い評価を受けるようになり、その後様々な恩恵を受けることになりました。

我田引水的な引用になってしまいましたが、先のバス会社の社長たちの発言はあくまでも『木を見て森を見ず』で、現行サービスの中でどう価格を下げるかという視点でしかものを見ていないように聞こえました。

知恵を絞るべきところは単に価格を下げることではなく、サービスの向上を図る方法なのです。

この無策ぶりを聞いて、今度子供からシニアの人たちを魅了できるサービスを知人が経営している観光バスの運営もしているタクシー・ハイヤー会社に提案してみようと思いました。














都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: 生活 タグ: パーマリンク

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