衣替え

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昨日からゴーデンウィークが始まりました、今年は大型連休ということで早くも昨日から道路も下りは渋滞、電車、飛行機の便も満席という状態だそうです。

短期間に国民が一斉に休みをとるわけですから当然の結果と言えばそれまでですが、日本人の休暇の取り方は世界基準、特に欧米諸国の基準からすると奇々怪々に映るようです。

そういう私も幼少の頃からヨーロッパ生活が長かったので、日本人の休みの取り方には首を傾げることが多々有りました。


私が三井物産の新人の頃、違う部の大先輩が我々新人に、

『私は10年間有給休暇をいうものをとったことがない。君たちもそういうつもりで頑張って欲しい』

と言われ、新入生一同シラケた思い出があります。

我々だけに言うのならまだしも来日した取引先の人間にも同様のことを言っていたので、欧米人からは良よく

『あの人の人生の目的はなにか?』、『 あの人は何のために仕事をしているのか?』

と、聞かれました。

それはそうです。欧米人の多くは仕事というものは豊かなプライベートライフを過ごすための手段と考えているのですから意味不明だったのでしょう。

しかし、今思うとその先輩はとても仕事が好きなひとでした。人間好きなことをやっていれば誰にも強制されなくとも継続出来ます。

その方の表現方法は分かりにくかったですが、今思えば言わんとしていた事は、

『仕事を好きになったら休みなど取りたくなくなるよ』

ということだったのかも知れません。

その方は服の衣替えに関しても一家言をお持ちで、秋冬から春夏服の衣替えは4月、春夏服から秋冬服の衣替えは9月と決めていらっしゃいました。

そして常に

『都倉君。スーツは英国製に限る。英国仕立てでなければ駄目だ』

と。

身長僅か160cmぐらいの小太りの方だったので

『xxさんだったら英国製だろうが日本製だろうが変わりないよな』

などと我々口の悪かった若輩者は酒の席で笑っていましたが、その方が仰っていたことで今となるとなるほどと思うことがありました。

それは、

『服のセンスというものはその人の人格を表すのだ。自分のポリシーのない服を着ても直ぐ馬脚をあらわすことになる』

という言葉でした。

私には

『君は上下お揃いのスーツではなくブレザーに色つきのシャツを着ているのはあくまでも遊び着で感心しない。しかし、君なりのポリシーがあるようだから普段は上下揃ったスーツに白いシャツでそういう格好は金曜日だけにしなさい』

などとも言われました。

内心余計なお世話だと思いつつも、表面的には

『ご忠告有り難うございました』

などと調子のいい返事をしつつ自分流を貫いていました(笑)


さて、皆さんも同じことをお感じだと思いますが電車に乗っていると四月から一つの異変に気が付きます。

それは、圧倒的多数の若い男女が濃紺のスーツ姿で電車に載っている姿です。


男子はほぼ全員上下お揃いの濃紺のスーツに白いシャツ、女子は上下お揃いの濃紺のスーツかパンツルックです。

髪の毛も皆黒く茶髪など誰もいません。

しかし、皆の耳たぶを見ると殆どの男女の耳たぶにピアスの穴の痕があり中には耳中穴だらけの男女もいます。

一ヶ月前にはヘヤースタイルや服も自由奔放、個性的で耳にもその日の服装に合わせたピアスをしていた若い男女が、一ヵ月後にはこのような没個性的な集団行動をとる姿を見て、昔米国の有名な駐日大使が日本人の行動基準を

”Concerted action(一致した行動)”

で安心を覚える民族と称したのを思い出しました。


電車の中や街を歩く上下濃紺の服に包まれた若い男女の個性を隠した姿を見て今は亡き物産の大先輩の言葉を思い出し懐かしく思いました。


ビリー・ジョエルが1978年のアルバム『ニューヨーク52番街』で発表した楽曲

Honesty(オーネスティー)

は、私がバンドを組んでいた時のチークタイムの定番で歌った曲の一つでしたが、『自分に正直であること』に関して歌ったとても素適な歌詞です。

『真実という言葉は何と素晴らしい言葉だろう。

人々は真実を隠しながら生きているけど

君からは真実だけを聞かせて欲しい。』







都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
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