独り言

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先日研究目的で来日している外国人からたどたどしい日本語で次の様な質問を受けました。

『都倉さん。英語で「チェンジ・ヒア・フォー」ってどういう意味ですか?』

『はっ?どこで聞きましたか?』

『電車の中のアナウンスです』

『???』

意味がわからず答えようがありませんでした。

しかし、非英語圏の人間とはいえその人の英語の能力はパーフェクトに近いので、不思議でした。

そして暫くその事は忘れていましたが、あるとき電車に乗った時にふと英語のアナウンスが耳に入りました。

普段は耳に入っていなかったのでしょうが、その日は耳に入りました。

その英語のアナウンスは早口で完全な英語を母国語としている女性が喋っていて、英語を母国語にしている人間以外には俄かには分からないようなアナウンスでした。

そして、確かに言っていました。

『チェンジ・ヒア・フォー』

と。

簡単に説明すると下記の様なアナウンスなのです。

“The next station is xxx. Please change here for xxx line “

詰まり、


『次は×××です。×××線にお乗り換えの方はこちらの駅でお乗り換え下さい』


書き出すと中学一年生程度の英語です。

問題はアナウンスの仕方なのです。

何のためのアナウンスか全くわかりません。


英語が母国語の発音の女性のしゃべっている早口の内容を、英語を母国語としていない外国人にアナウンスをして意味があるのでしょうか?

しかも、駅名も乗り換える電車名の発音も全部英語の発音です。

仮にそれを聞いた外国人が、そのままの発音で日本人の駅員に聞いたら、今度はその駅員が分からないでしょう(笑)


もっとゆっくり、そして駅名、乗り換え電車名は日本語の発音で言わねば、本来の目的であるはずの、日本語を理解しない外国人のためのアナウンスとしては意味がありません。

恐らくやっている側はなにも考えていないのでしょう。

日本にいる外国人の中で英語を母国語としていない外国人のほうが圧倒的に多いにも関わらず、流暢な英語のアナウンスさえ流していればよいという感覚なんでしょう。


日本語を良く理解できない外国人が理解でき無ければ意味がありませんし、そのアナウンスを聞いた外国人たちが降りた駅で駅員に質問しても今度は日本人の駅員が理解できなければ意味がないのです。

その後、いろいろな電車で英語のアナウンスを聞きましたが、中にはゆっくりと駅名も乗り換える電車名も日本語に近い発音でアナウンスをしている電車もありました。

私はブログで過去にも何回か政治家が使っている言葉に関して言及していますが、本来は自分の考えを国民に出来るだけ正確に伝えることが最大責務の一つであるはずです。

しかし、それを実行している政治家は皆無に近いのではないでしょうか?

ごく当然のように一般的ではない外来語をちりばめた言葉を多用するかと思いきや日本語でも

『是々非々』、『粛々』、『政局よりも政策』

などなど、日常的に使われない言葉を乱発しています。


大切なことは情報を配信している側が理解していることは当然のことですが、情報を配信している相手先が理解しているかどうかではないでしょうか?

賢人は自分の伝えたいことを伝えたい相手に応じて相手に分かる言葉を使い分けるといいますが、これは本当に重要なことだと思います。


私のところに届く大病を患った人やご家族から頂くお便りの中にも、医師の意味が不明だという内容が少なからずあります。

私の体験上多くの医師は、説明はしても全く医学知識の無い患者に分かるような説明ではないことが殆どです。


自分達だけが分かる専門用語を述べ立てられても患者の方は意味不明です。

『原発巣(げんぱつそう)の患部を廓清(かくせい)する』、『肉芽(にくげ)をうながす』

と言われてお分かりの方が果たして何人いるでしょう?

前者は癌が発症した部位を手術で取り除くという意味で、後者は手術などで欠損した組織の再生をうながすということです。

説明を受けないと知らない外国語と同じですね(笑)


私は医師が意味不明の言葉を使うと徹底的に質問するので医師も辟易としつつも説明しますが(笑)、通常医師と患者の関係ではなかなか聞きにくいということも十分理解できます。

医師の人たちには

『自分が幾ら説明したと思っていても、患者が理解していなければ、そんなものは単なる医師の独り言』

だということを良く肝に銘じてもらいたいです。

そういう私も今年になって講演を始めいろいろ人前で話す機会が増え、日々の相談メールの回答やブログなどでも、果たして

『自分だけしか分からない言葉を使っていないか?』

ということをチェックしています。

分からない言葉を使っている場合はご遠慮なくご指摘下さい(笑)







都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
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独り言 への5件のフィードバック

  1. 都倉さんへ のコメント:
    私も電車内の英語のアナウンスに疑問を持つ者の一人です。英語といってもいろいろで、中国人の話すChanglish, インドネシア人のIndonglish, フィリピン人の舌足らず英語、日本人のJanglish、果ては豪州人の話すI go to die (today)など、ドイツ人の Wie haf to do something, フランス人のJapanse motorcycles especially Onda’s are excellent.などを経験しながら仕事をしてきました。流暢な米語であんなに早く日本の地名を言われたたって彼等は分からないでしょう。因みに香港地下鉄では返還前、英語、広東語、標準中国語の順でゆっくりと案内していました。変換後は順番が変わったと記憶しますが、いずれにせよとても分かりやすかったです。
  2. 荒川 文生 のコメント:
    古来「観人説法」と言う格言があります。今時 使う人は稀ですが・・・。
    • 都倉 亮 のコメント:
      返信が遅れて失礼しました。

      『観人説法』、私もよく分かりません。
      • 荒川 文生 のコメント:
        法を説くには、人を観よ。つまり、話を聴く相手の関心事や理解能力に応じて、話の内容を選ぶようにということだそうです。今時、営業用の Presentation Tool になりますね。

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