スウェーデンからの贈り物

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私が経営していた会社は、北欧モダンカジュアル家具を北欧のオリジナリティーを損なうことなく日本の居住環境、日本人のライフスタイルに合うようにデザイン、生産、輸入、販売を手掛ける会社で、その分野の日本のリーディングカンパニーでした。

基本的に商品は全てオリジナル商品でしたが、規模が拡大していくに連れお客様より周辺雑貨もラインアップして欲しいとの要望が高まり、当社のインテリアに合う雑貨のデザイン、生産にも乗り出しました。

しかし、インテリア雑貨は点数が多いため全てオリジナル化することは難しく、当社のオリジナル商品と見合うヨーロッパの雑貨メーカーと提携して、複数のメーカーからインテリア雑貨を仕入れていました。

洋風の生活にはヨーロッパの良い雑貨はとても良く合います。

キッチン雑貨などはスウェーデンのコスタ・ボーダー社(現オレフォース)、デンマークのロイヤル・コペンハーゲン、チェコのボヘミアンカットのクリスタル、スウェーデンのノーベル賞授賞式の晩餐時に使われる食器類のレプリカ、ローストビーフを切り分ける本格的なカービングナイフにフォーク(食卓用大型肉切り分け用ナイフとフォーク)など、ヨーロッパの有名なメーカーと提携して、当社の家具に合うインテリア雑貨やダイニングウェアを品揃え出来るルートを確立しました。

写真撮影などの為に試作品を数点づつ入れた時に社員の一人がカービングナイフとフォークを見て

『社長。ヨーロッパの連中はこんなにでかいナイフととフォークで食事をしているのですか?』

と聞かれました。

その時はさほど気にもとめず、食事用のものではなく切り分け用のものと説明をして済ませました。

実際に販売を開始してみると、飛ぶように注文が入り、さすが本物を値ごろ価格で提供するとお客様に対する訴求力が大きいと当社のダイニング関連商品として定番化しようと考えました。

また、一人からの注文が3-4セットになることも珍しくなく、贈答品としても喜んで頂いているのだと思っていました。

しかし、少しすると複数セットご注文頂いたお客様からお問い合わせが相次ぐようになりました。

お問い合わせ内容は、

『今回注文したナイフとフォークはとても素晴らしいけど日本人、特に子供には大きすぎて使いにくい』

と言うような内容が多かったのです。

『エーッ?』

カスタマーサービスの責任者から報告を受けた私の第一声でした。

しかし、直ぐに最初に写真撮影の時に入れた商品を見て社員が言った

『社長。ヨーロッパの連中はこんなにでかいナイフとフォークで食事をしているのですか?』

という言葉を思い出しました。


Webページには大きな肉の塊をカービングナイフで切っている写真と当然のことながらサイズも明記してありましたが、お客様は単に当社のインテリアのイメージで捉えカービングナイフとフォークの意味やサイズを良くご覧にならないで食事用のナイフとフォークと思ってご注文頂いていたのです。

よくよく考えてみたら、日本の普通の家庭の食卓で、大きな肉の塊を切り分けて装う習慣は殆ど無いわけです。

肉料理も食卓に並ぶ段階では大体お箸で食べられる大きさになっているのです。


全く予想していなかったことですが、私の勝手な思い込みによるお客様に誤解を与える画像だったのです。

商品が良かったので殆どのお客様は一セットは残すことをご希望されましたが、その他の複数セットに関しては返品をご希望される方のご要望はお引き受けしました。

私はブログなどでよく医師が幾ら患者に説明をしたと思っていても患者に伝わらなければ、

『そんなものは単なる医師の独り言』

と言っていますが、正に私の場合も販売者側の独りよがりだったのです。


ノーベル賞の晩餐会の時に使用される食器のレプリカも思ったより売れず不思議でした。

日本人ほどノーベル賞とオリンピックが好きな国民はいないからです。

しかし、有るときお客様が結婚式の贈呈用にお買い上げくださって『のし紙』を付けてほしいと言うご要請内容を見て謎が解けました。

『そうか。日本の食卓で焼き魚を食べたり和洋折衷の食事の時にこの様な食器類を日常的に使用することはあり得ない。使われるのは日常使用目的としてではなく、装飾品としての用途であろう』

と。


すぐさま方針転換をしました(笑)

日常的な使用目的としてではなく、記念品、贈答品としての用途を全面に出したところ驚くぐらい売れ始めましたた。

やはり日本人はノーベル賞が好きだったのです(笑)

この様に幾ら優れた物でも日本人のライフスタイルに合ったものか日本人のテーストに合わねば定着はしません。


日本社会で一番原点が薄れつつあるものの一つは民者主義制度では無いでしょうか?

日本の民主主義は市民が独自で勝ち取った制度ではなく、戦後米国に国を統治するために与えられたルールです。

そのルールの真の意味を国民が理解する前に驚異的な経済的な成長を遂げました。

そして、肝心の国の根幹をなすための制度が疎かになったまま今日を迎えたのです。


民主主義の根幹をなすのは

『人民の 人民による 人民のため』

の政治です。

スウェーデンは人口僅か850万人の日本に比べると小国ですが、いろいろな面で日本が見習うべき点があります。

私が理事をしておりますスウェーデン社会研究所は毎月スウェーデン大使館でスウェーデンにゆかりのある講師をお招きして講演を行っていますが、日本人にとってとてもためになる話が多々あります。

過日の講演の時に話のあったスウェーデンの国政の投票率は何と89%とのことです。

本当の意味で国民が政治に参加しているという意欲を感じる数字です。


日本国民は既存政党に辟易として目新しい流れに飛びつく傾向が目立ちます。

自民党政治に愛想をつかせて民主党政治に期待したものの、素人集団に国を任せることに疑問を感じ新たなる動きに目移りしている現状です。

既存政党の対抗勢力としては兼ねてより『新自由クラブ』、『日本新党』、『新進党』などが結成されましたが、いずれも一過性のもので本当の意味で既存政党の対抗勢力とはなりえず解散していきました。

もっと世界の先進民主主義国の政治を研究すべきです。そして、表面的な真似事だけではなく、本当に日本の風土にあった民主主義体制を樹立すべきなのです。

スウェーデンは小国ながらいろいろな分野で世界的な活躍をしている人たちを輩出している国です。

ロックミュージック界の人気ミュージシャン男女4人グループのアバ(ABBA)はスウェーデンのミュージシャンです。

1970年代から80年代初頭にかけて活躍し、シングル/アルバムの総売上は3億7000万枚を超え、世界で最も売れたアーティストにも名前を連ねています。

マドンナや今や世界を席巻しているレディー・ガガなどにも大きな影響力を与えたといいます。

アバの代表的な大ヒット曲

ダンシング・クィーン

希望に満ちた曲です。

http://www.youtube.com/watch?v=StHJ0GMxk_g







都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
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