学習能力

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ここのところ何といっても政治家でニュース報道のトップ記事を飾っている人の一人と言えば、新防衛相ではないでしょうか?

前任者の度重なる失言並びに閣僚としてのあるまじき行動により実質的に更迭された後を受け先月就任したばかりですが、就任当時からその任を遂行していく資質には疑問を呈する人間が多かった中、首相が

『資質、経歴からして防衛相として申し分ない』

と太鼓判を押していました。

自らが任命した閣僚を資質が無いとは口が裂けても言えないでしょうが、首相は前任防衛相が失言をしたり、国賓として招かれたブータン国王夫妻の宮中晩餐会を欠席して同僚議員の資金集めパーティーに参加したり、閣僚として有るまじき行為を繰り返したりしたにも拘らず、処分内容を厳重注意に止めた経緯がありました。

そして、万全を期して任命したはずなのが新防衛相なのです。

しかし、就任直後から失言が相次ぎ沖縄県の地名を間違えたり、沖縄県知事と面談の際も原稿を棒読みしたりして危なっかしい船出でした。

そして、ここに来て南スーダン共和国の問題で、同国に関する基本的な知識さえ無かったことを露呈する事態が生じました。

南スーダン共和国は、2011年7月8日まではスーダン領南部スーダン自治政府の統治下にありましたが、2011年分離独立の是非を問う住民投票が実施された結果、分離独立票が圧倒的多数を占めて独立した現在世界で最も新しい国です。

野党議員の陸上自衛隊の南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に関連し、陸自を警護するのはどこの国の部隊かを問われ、「決まっていない」と答弁。

直後に防衛副大臣が「バングラデシュだ」と答弁すると、「理解してなかったことは大変申し訳ない」と陳謝したのです。

一般の日本人も日本からは遠いアフリカ大陸の話なので、本件の防衛相の無知識に対して余り問題視していない様ですが、私は一般人ならともかく一国の防衛問題をあずかる最高責任者としては甚だお粗末極まりなく、その資質には大きな疑問を抱きます。


南スーダンの独立問題に関しては、日本のメディア報道はさほどなされていませんでしたが、欧米メディアではかなり加熱した詳細な報道が連日なされ、長い内乱を繰り返してきたスーダンから南スーダンが独立したことは、世界的には昨年の大きなハイライトとして受けとめられていたからです。

その新しく生まれた国に関する基本的な知識すら新防衛相は持ち合わせていなかったのです。

これが首相の言う資質、経歴とも申し分無いという防衛相の姿なのです。

新防衛相が就任したときに、マスコミに良く登場する政治評論家の一人が

『新防衛相は失言をしないと思いますよ。なぜなら、彼は婿養子として絶対に失言をおかすことのできない立場に長年身をおいてきたからです。』

と称していました。

まあ、一国の防衛相の評価をその防衛に関する専門性ではなくこの様な形でしか評価できないことも甚だ情けない話ですが、この評論家が無難だと思って述べたコメントも見事外れ一ヶ月弱で馬脚を現し始めました。

一方、この南スーダンの独立問題に関して大きな役割を果たした米国人がいます。

それはハリウッドスターのジョージ・クルーニーです。

ジョージ・クルーニーは今年のゴールデン・グローブ賞のドラマ部門の最優秀主演男優賞の授賞者でオスカーの最優秀主演男優賞の最有力候補の一人と言われていますが、ジョージ・クルーニーが南スーダンの独立に果たした役割は昨年米国のニューズウィーク誌でも大きくトップ記事で取り上げられていました。

パパラッチを引き連れ度々同国を訪れ世界に同国の抱えている諸問題を報道させたり、私財を投じて通信衛星を打ち上げ同国の事情を把握して、反政府ゲリラと自らが交渉したりすることによって南スーダン独立に多大なる貢献をしました。

度重なる同国の訪問の際にでマラリアに感染したこともあったそうです。

当然のことながら同氏の果たした役割の大きさと知名度に目を付け、米国共和党、民主党から国政に参加するように強い熱いラブコールを受けました。

しかし、ジョージ・クルーニーはきっぱりと

『自分は自分の立場で出来る仕事をしたのであって、国政に参加する意思はない』

と。

男の美学を感じました。

一方、バラエティ番組に数多く出演して知名度を高め、無党派層の票を得て国政にうって出るのが極めて一般的になっているのが、現在の日本の政治家の典型的な姿のひとつです。

その政治家の資質には関係なく、当選回数を重ねた議員を順繰りに閣僚にして行く現在の制度の下では失言、不適格な行動は絶対に無くなりません。

閣僚の任命責任は当然のことながら首相にありますが、その首相を選らんでいるのは我々選挙民なのです。

そろそろこの負のスバイラルに終止符を打つことが必要不可欠です。

我々が学習能力を高めねばなりません。







都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
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学習能力 への2件のフィードバック

  1. Taeko Yanai のコメント:
    初めまして。「学習能力」の記事を読みました。同感です。現政権も私たちの一票から誕生したものでしょうから、一人ひとりが世の中、いたることに興味・関心のアンテナを張り巡らして学習しておく必要がありますね。マスコミに誘導されて政権交代をしたと考えますが、平素から国民が自分なりの考えをもつようにしておかないと危ないですね。国会議員には防衛と外交に特に力を注いでもらいたいと思っています。それ以外は地方に権限と財源を移譲すれば良いのにと考えます。ジョージ・クルーニーのように自分のできることを最大限にやる、という人は素晴らしいことです。レベルは異なっても日本人にも少なからずいると思います。私たち一人ひとりが、自分のできることを目一杯する、このことが、今の日本を救うことではないかと最近考えています。先日、『致知』で日野原氏との対談「我が命、燃焼す」を読みました。本の出版、楽しみにしております。
    • 都倉 亮 のコメント:
      コメント並びに致知をお読み頂き有り難うございました。

      日本の民主主義は市民が自力で勝ち取ったものではなく戦後アメリカに与えられたルールを国民が理解する前に高度成長を遂げ物質文明を謳歌し政治が疎かになった付けが今回ってきているのだと捉えています。

      私はフェースブックを始めとするソーシャル・ネットワーク・システムがこれからの社会を変える最大かつ最強のツールだと思っています。

      私のブログ他投稿はフェースブックにも連動されていますので、もしフェースブックをおやりでしたらお友達申請していただければ承認いたします。

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