癌との闘い-15(癌患者と鬱病)

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『癌との闘い』の連載は、2008年8月から2010年12月までの二年間に亘る闘病記です。

過日テレビの報道番組で癌患者の3割が『鬱病』を併発しているという調査結果が公表されていました。

癌に怯える精神状態と『鬱病』と見分けがつかない場合もあるようです。

また、『鬱病』までには至らなくてもその予備群を入れたら恐らくその数字は倍増するのでは無いでしょうか?

私は知人の診療内科医には何度も『鬱病』も併発しているのでは無いかと聞きました。

所見は、

『確かに欝状態にはなっているが鬱病ではない』

という事でした。


しかし、毎月転移が疑われ精神的にも落ち込み、眠れない夜が続いた時期は、精神安定剤、睡眠剤も処方して貰っていました。

そういう意味では立派な『鬱病の予備群』だったのではないでしょうか?

私の場合は、知人に癌の専門では無いものの心療内科医がそばにいたお陰で救われました。

癌の治療にあったっている医師達は、患者が『眠れぬ夜を過ごし』、『常に死ということを身近に感じ』恐怖におののいていると言う事を分かっているのでしょうか?

私自身の場合も、知人の診療内科医に診て貰っていたにも関わらず、毎月転移の疑いが続いた時期には、常に『死』と言うことを身近に感じていました。

私の場合は何とか踏みとどまる事が出来ました。

しかし、不安と恐怖感が強まりどんどん追い詰められていった場合、『その先に待っているのは何か?』という事は想像に難くないことです。

これほど多くの人間が、病気を苦に『自殺』に追い込まれている事実に対して、医師のみならず医療関係に従事している人間はもっと大きな問題意識を持つべきです。

大病を患い精神的に追い込まれている患者の心の中はガラス細工のように弱くなっているのです。

患者に希望を失わせないためにも、『生と死を繋ぐ最後の絆』は医師の言動にかかっていることの自覚が必要です。

私の病気を知った元駐日スウェーデン大使夫人が、

『紹介状を書くから、スウェーデンのカロリンスカ病院で診てもらったらどうか?』

とスウェーデンから連絡してくれました。

カロリンスカ病院はノーベル賞の生理学・医学賞受賞者を決定する大学病院です。

聞くところによると、私のような病例の場合、

『全身の癌の専門家である腫瘍内科医、原発巣の当該医局医、心のケアをする精神科医若しくは診療内科医がチームを結成して治療にあたる』

とのことでした。


折角のご好意でしたが、自分が置かれている立場を考えると日本を離れる事は出来ませんでした。

低調に御礼を述べると共にお断りした経緯があります。

また、スウェーデンでは治療チームの中には薬剤師も重要な役割を果たし、医師と同等の立場で治療方法を決める打ち合わせに参加して使用する薬に関しては中心的な役割を演じるとのことでした。

一方、日本ではどうでしょう?

医師と患者の関係も対等ではなく、患者が受身の立場であることが圧倒的に多いと思います。

そして、医師と薬剤師の関係も、薬剤師はあくまでも医師の処方に基づいた薬を間違いなく出すことが主たる仕事のように見えます。薬剤師が積極的に関与し、薬剤師の判断が優先される事は無いのでしょうか?

私の場合、今まで治療、手術、経過観察の話を通じて病院の薬剤師が話しに同席した事はありませんでした。それゆえ、病院の薬剤師とは直接話をした事はありません。

私は、かかっていた医局が多岐に亘ったため、それぞれの医局が処方する薬を合わせるとかなりの量になりました。

それゆえ、私の薬を処方するに際し、医師が他の医局で処方している薬をパソコンデータで見ながら、薬事事典を調べているケースが良くありました。

その光景自体見ていて余り気持ちの良いものでは有りません。

それでも、たまには処方された薬を受け取る病院の近くの調剤薬局で

「あれ?この薬はおかしいですね」

と薬剤師が首を傾げるので、

「じゃあ、正しい薬に換えてください」

と言うと、

「処方した医師の了解を得られなければ、自分達の判断では換えられないのです」

と言うことでした。

薬の処方箋を書いた医者のお伺いを立てる電話を掛けてくれた事も一度や二度じゃありません。

そして、私の場合は結果的には100%処方箋を書いた医師の間違いで薬剤師の指摘の方が正しかったのです。


『もし薬剤師が気付かなかったら』

と何度も思いました。

時折、病院で間違った薬を点滴して大きな事故に繋がる事がニュースで報道されます。

しかし、少なくとも処方箋の書き間違いによる大きな事故を未然に防ぐ策が、病院と調剤薬局間で講じられているとは思われません。

そして、あるとき人命に関わる様な事故が起こったときに初めて世間の知るところとなるのではないでしょうか?

病院と調剤薬局の上下関係に対してはいつも疑問に思っていましたが、ある日その疑問が解けたような気がしました。

病院を出て辺りを見回すと、病院を囲むように数多くの調剤薬局が点在しているのです。

医者に睨まれたら仕事にならなくなるのでしょう。

それは、あたかも我々のビジネスにおける大手販売店と仕入先の関係のように思われました。

誰にでもミスはつきものですが、処方箋をダブルチェックする体制を病院内に設ける必要性はとても高いと思います。

この点も一日も早く改善されるべきです。

つづく

都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
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癌との闘い-15(癌患者と鬱病) への2件のフィードバック

  1. 土田登志子 のコメント:
    都倉様

    先日、108でお目にかかりました土田と申します。
    ブログを拝見し、ご無礼とは存じましたが、気持ちが勝ってしまい、
    ご連絡いたしました。
    ご興味がなければ、それで構いません。一方的に情報をお送りさせていただきますこと、
    お許しください。ほんの少しでもお役にたてば幸いです。
    私は、出版の編集制作を生業としています。出版社から依頼を受け、
    単行本やMOOK,雑誌の特集などを制作しております。以前、健康雑誌の立ち上げなども
    した経験から、健康をテーマにした本作りも多いです。
    このたび、ご連絡差し上げたのは「薬の適量」についてです。
    O-リングテストをごぞんじですか。
    誕生させたのはニューヨーク在住の大村恵昭先生です(ニューヨーク医科大学予防医学科教授、ニューヨーク心臓病研究ファンデーション研究所長、国際鍼電気治療大学学長、ウクライナ国立キエフ医科大学ノンオーソドック医学科教授、日本ばい・デジタルO-リングテスト医学界会長)。
    http://www.bdort.net/
    このテストは、どの薬やサプリメントが各臓器の病気に対して有効なのかチェックできる(1回の適量や投与する間隔まで調べられます)。ただ、そうして有効とわかった薬も実際に患部に届くのはわずか一部であり、大部分がほかの正常な部分に届いてしまいます。
    こうした副作用の問題を解消するため、O-リングテストでは、「薬やサプリメントを患部にのみ届ける」方法を開発し、医療現場で活用しています。
    私は「O-リングテスト超健康レッスン」(主婦と生活社)と「O-リングテスト入門」(河出書房新社)で大村先生著書の編集をさせていただきました。
    そういったご縁で、早期発見と完治を経験しております。
    もし、ご興味がございましたら、o-リング協会認定医の先生をはじめ、副会長の先生を
    ご紹介することは可能です。
    • 都倉 亮 のコメント:
      お便り有り難うございます。

      またO-リングテストの情報併せ御礼申し上げます。

      主治医に確信してみます。

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