癌との闘い‐13(大病院とクリニックの狭間に入って)

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本日のブログは水曜日に連載している『癌との闘い』の13話です。

ここのところ私が入院したことなどもあり連載が不定期になっていましたことをお詫びします。

土曜日は英語の連載を致しますので宜しくお願いします。

Today’s blog is chapter 13 of The Battle against Cancer written on every Wednesday.

However, due to my unexpected hospitalization, it was not written regularly these days to which I apologize.

The English version will be uploaded on Saturday.


大病院は大掛かりな治療や手術が必要な場合患者を診る。

そうでない場合はクリニックが診るという制度は、病気によっては大病院とクリニックの住み分けと言う面で非常に効率の良い制度だと思います。

しかし、癌の様に身体のいろいろな部位に再発、転移のある可能性のある病気に関しては、患者に極めて大きな負担を強いる制度なのです。

現在の制度は、『病気が癌のような複雑な病気で、身体のいろいろなところに症状があっても、病院側が引き続き経過観察の必要性を認めなければ専門開業医にバトンタッチする』という,
患者本位ではなく『先ずは制度ありき』の医療体制なのです。

医師を始めとする医療関係者は現行制度に疑問を感じ、『先ずは制度ありき』の診察方法から、患者の立場に立った診察方法を切に考えるべきです。

そうでなくても肉体的な苦痛に加えて不安で押しつぶされそうになっているのです。そういう精神状態の中で、『どこか一つの医局でもいいから自分の身体に起きている様々な症状を全体的に把握して欲しい』と言う気持ちがあって当然だと思います。

不安感が強まると更に身体の他の部位に異変がおきているような気になります。

ちょっとした体調の変化でも必要以上に神経質になるものです。逆に心が癒されると肉体的な症状も和らぐ事も何回と無く経験しました。

この事は今までも言い続けて来ましたが、今後とも常に言い続けて行きたいと思います。

誤解なきように強調しますと、これだけ医療が細分化している今日、ひとつの医局に身体の全ての部位に責任を持って欲しいと言っているのではありません。

しかし、大病院には患者の身体を細かいパーツとしてではなく、全体的に診る医局あるべきです。

そういう医局が無い限り、患者の身体全体の症状に関しては、患者本人しか分からなくなるのです。

紹介された医局、更にはそこから紹介される専門クリニックとの遣り取りに関しては、患者本人が個別に診察を受けているのと同じなのです。

ですから、関係して来る医局が増えるほど、患者としては『果たしてこんなことでいいのか?誰が自分の身体全体のことを理解してくれているのか?』という大きな不安に襲われていきます。

具体的な例をご紹介します。前述の背中と肩に激痛が走ったときは癌の骨髄への転移が疑われました。

幸いにも、転移は無く最寄りの整形外科でフォローアップを指示された時の話です。

初回の診察ではY病院の紹介状を持参してそれなりの診察を受けました。

しかし、時間的に通院することが難しく、一か月ぐらい経ってから二回目の診察のために再来院した時のことです。

医師は診察室で私の顔を見るなり

「前回は五十肩の治療でいらっしゃった患者さんでしたっけ?」

と聞かれました。

無論、日々多くの患者を診ている医師としては、いちいち一人の患者の病状を覚えていることは出来ないと思います。

しかし、患者の立場からすると堪ったものではありません。

「いえ。前回はY病院で癌の骨髄への転移は無いということで、Y病院の紹介の下に診て頂きました」

と説明すると、慌ててカルテとレントゲン写真を見て

「そうでしたね。その後具合はどうですか?」

「相変わらず肩から背中にかけて激痛が走る時があります」

「まあ、Y病院の所見では癌の骨髄に対する転移は無い訳です。それでは、引き続き別室で温める治療をして下さい。飲み薬と湿布薬を処方しますので、それを貼って様子を見てください」

と、頭から『Y病院では癌の転移はないと判断している』と言うことが前提の診察なのです。私の『癌の転移に対する不安』に関する独自の所見は全くありませんでした。

この場合も、『Y病院が癌の転移は無いと言っている』からではなく、自分が診た範囲でも癌の転移は無いと思う』と一言当事者意識を持って所見を述べるべきなのです。それによって、患者の受ける精神的な苦痛は大幅に軽減する事は間違い有りません。

結果的に温熱療法も処方された薬も効果はありませんでした。

そこで、その整形外科に通院するのは止めて、長年身体のメインテナンスをしてもらっていたカイロプラクティック院で施術して貰い症状を和らげて貰いました。

Y病院内でも、『一人の人間の身体を全体として診る医局が無く』、各部位ごとにその専門医局が見て、そこから先は各医局から紹介された専門開業医がフォローアップするシステムです。

主治医に至っては私に質問しない限り、私の身体の他の部位の最新情報は分からないのです。

つづく

都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: 癌との闘い タグ: パーマリンク

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