モノポリーと人生

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私は大学時代体育会ゴルフ部に所属し、大学三年生の時にハンディキャップ0になりました。

三井物産に就職してからは仕事の上でもゴルフのお誘いはとても多かったですが、学生時代に純粋にスポーツとして追求したゴルフを仕事に絡めるのに抵抗を感じ、お付き合いゴルフは必要最小限度しか行いませんでした。

しかし、その数少ない仕事がらみのゴルフのお付き合いの中で、ゴルフをいろいろご指導をした相手に囲碁の有段者の方がいました。

その方は私よりも大分年配で私のことをとてもかわいがって下さり、

『囲碁は人生の縮図そのものだから、是非ともやるべき』

と熱心に勧めてくれました。

そこで、私もその方のご指導を仰ぎ囲碁を始めることにしました。

確かに将棋と異なり、一つ一つの石に強さがあったり、決められた動きや置ける場所が定められたりすることなく、単に互いに黒の石と白の石を置き合い、最終的により多くの陣地を確保した方が勝利すると言う単純な競技です。

しかし、単純がゆえに奥が深く、私も指導を受けているうちにすっかりと囲碁の魅力に取り付かれ、積極的に社内の囲碁大会などにも参加して、初段にあと一歩と言うところまで行きました。

その頃海外転勤になり、転勤先で残念なことに囲碁をする機会に恵まれず、そのままになってしまいましたが、また機会をみて再開したいと思っています。

さて、私の高校時代からの親友で田中君という男がいます。

大学のゴルフ部も一緒で好きな食べ物も殆ど一緒で未だに美味しいものを一緒に食べ歩くことを楽しみにしている人間ですが、彼曰く

『モノポリーこそ人生の縮図』

だそうです。

最初にその話を聞いたときに、私は

『モノポリーなんてすごろくの延長線上の遊びじゃないの?』

などとかなり失礼な質問もしましたが、何と田中君は

日本を代表するモノポリーの競技者で複数回に亘りにモノポリー日本選手権の覇者になっているのです。

今回の入院を終えた快気祝いに自宅に呼んでくれご馳走になった際、更にいろいろ話を聞きましたが田中君曰く

『囲碁は絶対的な実力の差があれば同条件で弱者が強者に勝つことはありえない競技だが、モノポリーはサイコロの目、引くカードの内容によって実力以外の部分で左右される面があるので、遥かに実際の人生の縮図に沿っている競技』

とのことでした。

『更に、サイコロの目、引くカードの内容も単に運に任せるのではなく、出る確率、どういうカードが残っているかなどと言うことを頭に入れながらいろいろな可能性を考え競技を進める必要があり、社会生活の中で決断を迫られたりする時にとても参考になる』

と、流石にモノポリーの日本王者に複数回なっている人間ならではの言葉でした。

モノポリーは子供達が小さい頃、良く家族で遊んでいましたが、田中君の話を聞いていると全く別次元のものでした(笑)

我が身を振り返ってみますと、2008年8月に中咽頭癌が左首リンパ切に転移したレベル4の進行癌が発見されてから癌との闘いが始まりました。

三ヶ月で癌の三大治療を全て受け、癌を撃破して転移再発の可能性の有った最大リスク期間の2年間も無事クリアして、迎えられることが出来るかどうか微妙といわれた三回目の正月も今年迎えることが出来ました。

主治医はこれで転移は絶対にないという確信の下その後の経過観察を続けていました。

4月ごろから肩の違和感を感じていましたが、2008年の三大治療の影響が遅れて出てきているのだろうと言うことで転移との関係に結びつけることはありませんでした。

それ故、8月末に私が頼んで行ったPET-CT検査で左鎖骨上リンパ節に転移した癌が発見された時は、私以上に主治医がショックを受けていました。

結果的に、もう一度三大治療を全て受け今回も癌を撃破して消失させることが出来ました。

現在の私の身体は癌細胞が一切ない綺麗な身体です(笑)

初回の癌との闘いで心身ともどん底まで落ち、そこから這い上がることが出来ていなかったら今回の転移は私自身受け入れられなかったと思います。

しかし、前回の癌との闘いを通して私の精神は浄化されそれまでの自分とは違う人間に生まれ変わりました。

今回の転移も非常に冷静かつ客観的に受け止め、手術、治療を受けている間も出来る範囲で病院内でこなせる日常業務も行いました。

それでは、私の二度に亘る癌の三大治療は全て綿密な計算に基づき100パーセントの確率で助かり、癌細胞も消失できると言う確信の下に行われたのでしょうか?

全く違います。

何回も手術、治療を受ける過程において私の判断を迫られた局面が有りました。

その時はいろいろな可能性を自分なりに考え結論を出しました。

そして、出した結論に対して余計な想像力を働かせて悶々とすることなく、後は運命を天に委ね治療は全面的に主治医に任せました。

なるほど。振り返ってみると田中君の説明してくれたモノポリーの様に運に左右される要素も出来るだけいろいろな可能性を考え、自分なりに決断していたのです。

過日田中君に

『快楽モノポリー倶楽部』

という本を借りました。

今後時間を見てモノポリーの研究を少ししてみようという気になっています(笑)








都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: 生活 タグ: パーマリンク

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