調剤薬局

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日本の薬局は大きく分けて保険薬局、基準薬局、病院の薬局があります。

保険薬局とは一般的にいう『調剤薬局』でいろいろな医療機関から発行された院外処方箋を受け付けて調剤を行う薬局です。

基準薬局とは日本薬剤師会が定めた基準を満たした薬局で、薬剤師会が認定した薬局機能に関するいくつかの項目をクリアした薬局を言います。

病院薬局とは病院、診療所など医療施設内に設置された薬局で、その施設の医師の処方箋に基づいた調剤をする薬局を言います。

私は薬局に関する多くの質問を多く受けますが、基本的に病院薬局が医師の処方箋の書き間違いのチェック機能を満たしていないという相談が多いのに驚きます。

中には、驚くことに医師が処方箋を書いた『経口抗癌剤』に関して、病院薬局の薬剤師と下記の様な遣り取りがあったとの具体例をあげて相談してきた方がいらっしゃいました。

医師の処方箋は何も指定が無ければ、病院薬局は処方された薬はその日から飲み始めることを指導します。

化学療法と放射線の併用治療の場合、経口抗癌剤の飲み始めるタイミングがとても大切になります。なぜならその開始時期と点滴による抗癌剤を直接血管に注入する日時には大きな相関関係が有るからです。

しかし、お便りによるとその患者さんは医師に

『抗癌剤は一応病院薬局で出してもらい、それを入院日に持ってきて欲しい』

と言われたそうですが、病院薬局はその抗癌剤の服用時期をその当日からと説明したそうです。

その理由は単に

『処方箋に飲み始める時期が記載されておらず、その場合は当日から服用することが原則』という説明だったそうです。

これが単なる鎮痛剤とか整腸剤など一日二日服用時期がずれてもさほど問題の無い薬ならいざ知らず、『経口抗癌剤』という非常に患者の健康を左右する薬を

『単に医師の処方箋に服用開始時期が書かれていなかったから本日から服用するように』

と病院の薬剤師から説明があったというのです。


その患者さんは、薬剤師に食い下がり最終的には手術中の医師に確認をとって貰い、医師の処方箋の書き間違えが判明したそうです。

ここで私が問題視したいのは、病院薬局のチェック機能はどうなっているのかどうかと言うことです。本来は患者のほうからの指摘が無くても医師の書いた処方箋をチェックするのが病院薬局の薬剤師の仕事なのでは無いでしょうか?

しかも、『経口抗癌剤』などの服用時期が重要な薬などは、医師の処方箋の書き間違えという疑問は抱かないのでしょうか? そして、患者からの指摘が無くとも自ら処方した医師に対して確認するということを考えないのでしょうか?

医師の処方箋の書き間違いは余り珍しいことでは有りません。私の場合も2008年8月に中咽頭癌が左首リンパ節に転移したレベル4の化学療法と放射線治療に引き続き手術を受けた後、いろいろな種類の薬が処方されました。

最寄りの病院の側の行きつけの調剤薬局に処方箋を出すと、何回に一回は薬剤師が

『これはちょっとおかしいと思いますが、病院に確認してみましょうか?』

と、医師の書いた処方箋の内容を細かくチェックをしてくれ、同じ薬でもミリグラム数の違いとか、前回出ていた薬が今回出ていないなどチェックしてくれ、私の要望に基づき病院側に確認してくれました。

そして、私が体験した範囲では100%調剤薬局の薬剤師の言い分が正しく、医師が書き間違えていましたが、病院側にお伺いを立てるときにあたかも自分側にミスがあるような口調で電話で質問していたのが目立ちました。

ある時私が

『何故、病院側の間違いなのに貴方がそれだけへりくだった話し方をしてお伺いをたてるのですか?』

と聞いたことすら有りました。

薬剤師は苦笑して私の問いに対しては明快な回答はしませんでした。

『おかしな遣り取りだな』

と思いながら私も忘れていました。しかし、ある日病院を出て周りを見回したときに思わず目を見張りました。

何と病院を中心に大小様々な調剤薬局が点在して立ち並んでいるではないですか。

その時に私は調剤薬剤師と病院側の関係を理解しました。

もし、ある調剤薬局が病院側に対して厳しく医師の処方ミスを指摘でもしたなら、恐らくその調剤薬局は病院側から睨まれ仕事にならないのでは無いかと。

日本の大企業と中小企業の関係は、メディアでも大企業の横暴によって中小企業が泣かされている報道がしばしば報道されて注目を浴びますが、それと同様の力関係が病院とその病院を衛星のように取り巻く調剤薬局の間でなりたっているのでしょう。

ブログにも紹介しましたが、当社はヨーロッパのモダンカジュアル家具をヨーロッパのオリジナリティーを失うことなく日本の居住環境、日本人のライフスタイルに合うようにデザイン、生産、輸入、販売をしていました。

最初の数年は商品の販売面は、ライフ・スタイルショップと称している大手販売店を中心に全国で200店舗を超える販売店に商品を卸していました。

その時感じた大手販売店の横暴ともいえる様々な要求、自店のミスでも納入会社に押し付けてくる出来事はスタッフから都度報告を受け、私は機会が有るたびに大手販売店の幹部に、

『現在の販売店と仕入れ会社との関係はいびつ極まりなく、この様な状態では長続きしないことに加え、この様なことを続けていると将来販売店自体が窮することになる』

と、警告して改善を要求し続けていました。

しかし、幹部たちは了解してもそれが実際の現場に下りて改善されることは殆どなかったと言っても過言ではありません。

当社は最終的に販売面でも独自の路線で行くことを決め、いち早くインターネットを通じたエンドユーザーに対する直接販売に徐々に切り替えて行きました。

最初は全ての大手仮装商店街(サイバーモール)の中でインテリア部門でトップになりました。

しかし、お客様に対する直接販売と言ってもリアルの世界に例えれば、大型モールの中の一優良店舗という立場で、必ずしもモール自体のコンセプトが当社のコンセプトとは一致していないケースもありました。

そこで当社の場合は最終的に独自のインターネット販売にも力を入れ私が病気に倒れるまでは、インターネット販売が6割。その6割の約半分が何処の仮装商店街にも属さない自社インターネット販売経由の販売でした。

そして、販売店、大手誌面通販、テレビ通販など経由の販売は4割まで低めることが出来ていました。

2013年までにはインターネット経由の販売が9割、販売店など経由の販売が1割ぐらいになる予定でした。

そして、2013年に株式上場をして私は後進に道を譲り第一線から退く予定でしたが、2008年8月に病に倒れました。

調剤薬局が当社なら総合病院は大手販売店に例えることが出来ると思います。

当社は独自路線を突き進みましたが、多くの調剤薬局は基準薬局への道を突き進んで行くことは出来ず、総合病院に『生殺与奪の権利』を握られているのだと思います。

私がインテリアビジネスを行っていた時に海外メーカーで90%の売り上げをIKEAに依存しているところが有りました。

しかし、そこの社長は毅然として

『我々は決してIKEAと主従関係にはならない』

と胸を張って言っていました。

無論、力関係は圧倒的に不利な立場にあるのですが、少なくとも私が見たIKEA担当者と同社担当者の話している様子は『対等の関係』でした。

日本社会の『官尊民卑』を始めとする大手企業と下請企業の関係は、私の目には余りにも一方的に力を持った方の論理のみが通用する関係に見えます。

『大きな村社会の論理』が通用する時代は既に終焉を向かえ、独自のユニークなコンセプトを持った専門店がどんどん台頭してきています。

総合病院も今の調剤薬局との関係が未来永劫に続く訳が無いことに目覚めることが求められます。













都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: 健康 タグ: パーマリンク

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