同意書に関する質問

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私にご相談メールを下さる方の中で、癌の治療を受けられる患者さんからの質問でとても多いのが、各治療に関する同意書に署名をして良いものかどうかの質問です。

健康な方には意味が分からないと思いますが、これは癌の治療を受ける患者にとってはとても重要な問題なのです。

因みに、どういうことかと言うことを、具体的な癌の化学療法の同意書の例でご説明します。

同意書には先ずは、癌の種類などにより、どういう抗癌剤が使用されるかの説明が書かれていますが、この薬に関する効能効果は、先ず殆どの通常の方々のみならず、医師でも当該部位の専門家以外は詳細には理解することは出来ないと思います。

次ぎに、この抗癌剤を使用したら起こる可能性のある副作用が細かく列記されていて、更に最悪の場合はこの抗癌剤の使用による死亡する可能性についても触れられています。

そして最後に、この治療を受けた結果効果があるかどうかは、保証出来ないと明記されています。

こう言うことが、極めて事務的に書かれた同意書を読んで、治療を開始する前に署名することが求められます。

多くの場合は、入院してからこの同意書に署名することを求められるので、ご連絡頂くのは圧倒的にご家族の方々からです。


先ずは、書いてある内容の正当性から申し上げますと、内容は正しいのです。

同じ部位の癌でも効果のある人と効果がさほど上がらない人、又は残念ながら効果の上がらない人もいるのです。副作用の現れ方も患者によっていろいろ違います。

又、私の様に中咽頭癌が左首リンパ節に転移したレベル4の進行癌でも助かった者も居れば、同じ時期に同じ部位の治療を受けた、私よりレベルの低かった方々でも亡くなった方々もいらっしゃいます。

私は現在科学的な証明はされていませんが、癌及び多くの難病の発生及び治療後の回復のメカニズムは、私なりに研究している精神神経免疫学の分野に鍵が有ると思いますし、この分野での科学的な証明が出来れば、癌を始めとする多くの難病の予防また回復の大きな手助けになると思います。

さて、同意書の件に関する私の見解は上述の通り、書かれていることは正しいのです。しかし、『同意内容に関する詳しい説明がもし全くなく、単に同意書をよく読んで納得したら署名するように一方的に言われた』、というニュアンスのお便りが少なからず有るのがとても気になるところです。

もし医師が何も説明しなかったと言うことが有れば大問題ですが、患者側が納得できる説明がなければ同じことで、医師の独り言に過ぎません。この納得と言う部分はとても大事な部分で完全なる理解とは異なる意味で私は言葉を使っています。

一方、患者側も医師に対して、一つ一つの副作用の可能性の説明や死ぬ確率はどのくらい有るかと詰め寄っても、明確な回答を出来る医師は存在しないことも残念ながら事実です。

最終的な判断は、その医師をどのくらい信じられるかどうかにかかっており、この部分が最も重要なことだと思います。

私は癌の三大治療を二回受け、署名した同意書の数も細かい物を入れれば、相当な枚数あります。

同意書の文面も物によってはそらんじられるぐらいですし、医師の説明も受けていますが、それでも内容については全てを理解している訳ではありません。

但し、全ての大きな治療の前にお互い目をあわして

『お互いに頑張りましょう』

と、握手を交わして治療に入ることが慣例となりました。


結果に付いては天命を待つしか有りませんが、満たされた気持ちで治療に入るか、医師に対する不信感や治療に対する疑問を抱きながら治療を受けるのでは、天と地程の差があると思います。

医師と患者が強い信頼関係の絆で結ばれることが最大の治療と確信しています。

医師の最も大切な仕事は、専門分野の権威になることでもゴッドハンドと言われる外科医になることよりも、『患者の心と信頼という名の絆で結び付くこと』だと信じます。

医師に対しては、目の前にいるのは病んだ患部や臓器ではなく、心を持った人間であるという自覚を高めて貰いたいです。


都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: 日記 タグ: パーマリンク

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