TPP問題について

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TPP問題に関しては皆様方いろいろなご意見をお持ちでしょうが、私は日本の国益を考えた場合は参加しなければ、日本の国益は失われると考えています。

確かに、個別の分野では大きな打撃を受ける産業もあり、例えば沖縄のある地域でサトウキビ栽培で成り立っている地域が海外の安いサトウキビが入ってきたら成り立たなくなるという一部野党党首が声高に主張している議論はその通りでしょう。サトウキビのみならず、個別産業、商品で見たらTPPに加盟することにより比較優位を失ったり産業そのものが成り立たなくなるものもあると思います。

しかし、全体の国益を考えた場合、残念ながら必ず犠牲になるものも出て来ますが、野党、マスコミの論調ではあたかも日本一国がTPPの参加により犠牲が出る産業があるがごとくの論調ですが、全ての参加国もそれぞれ大同小異の問題を抱えていることをもっと日本国民に分かるような議論、報道がなされるべきです。
その部分をどう補償及び他の産業への転換指導及び援助をするかが各国政府の大切な責務で実力の見せどころではなのではないでしょうか?

私はTPP問題を始めとする日本政府の国際条約に関する交渉の不味さ、意思決定の遅さ、意思決定の誤りによってどれだけ日本が国益の損失を被っているかという事に対してとても大きな問題意識並びに危機意識を持っています。

TPPに加盟することによって、日本が受けられる潜在的なメリットの部分が余りにも議論されずに、農業畜産業を中心としたマイナス面の議論が多く国民の目に触れられるのが一般的傾向だと思います。畜産業で言えばTPPに加盟することによって牛肉農家が壊滅するという事も言われています。

しかし、同じような悲観的な議論が1991年4月に牛肉の輸入自由化が実施される前に起こり、連日国会での野党の追及、それに追随するマイナス面のマスコミ報道がなされました。

その時アメリカの議員が語った

「今まで日本人が食べたくても食べられなかったステーキが毎日食べられるようになる」

と報道されていた新聞記事を見て笑った記憶があります。

なぜなら、日本の悲観論もアメリカ議員のステーキ論も双方現実には当てはまらない議論だと思っていたからです。

ドイツでアメリカンスクールに通っていた時代は、大げさではなく一年365日のうちの300日はチーズバーガーにフレンチフライ(フライドポテト)を食べ、友人の家に呼ばれた時は99%ステーキかローストビーフでした。

しかし、自宅の夕食は母親が当時手に入りにくかった和食の材料を手に入れ、いろいろ工夫して私に和食の味も覚えさせてくれました。

14歳の時に帰国した時は、ハンバーガー、チーズバーガーが食べたくてしようがありませんでしたが、日本に最初のハンバーガーチェーンが誕生したのは私が高校3年生の時で、それまではおよそアメリカンスクール時代に食べていたハンバーガーと似たものすらありませんでした。

ステーキに関しては、ホテルのレストランか高級ステーキ専門店しか食べるところが無く、牛肉の値段もスーパーなどで豚肉などとは桁が違う値段でした。

ステーキは両親に誕生日などの時に年に1、2回食べに連れて行って貰いましたが、そこで食べた肉は口に入れただけでかむ必要もなく溶けるような肉でした。私は最初両親にこれは本当に牛肉かと聞いたことを覚えています。

また、そのころは既に私は日本人の食生活に慣れ親しんでいましたので、仮に牛肉が自由化されても絶対に日本人が毎日ステーキを食べることなど出来ず、また日本の高級牛肉に慣れている人達が輸入牛に飛びつくことはあり得ないと確信していました。

それ故、私は当時三井物産の同僚に牛肉が自由化されても高級和牛の畜産農家の牛肉は差別化されるし、日本人が毎日ステーキを食べ続けることなどあり得ないので各地にステーキ屋が林立することなど無いと言っていました。

20年たった今日現在、結果はどうだったでしょうか?

和牛畜産農家は立派に高級牛肉に特化してブランド化して生き残っていますし、日本中がステーキレストランで溢れることにもなりませんでした。

どうなったかというと、安く手に入るようになった牛肉を日本人の食生活に合うように加工したり、日本人のテーストに合うような料理を考えたところが新たなビジネスチャンスを得て巨大産業にのし上がったのです。

今我々が日常喜んで食べている牛丼、大衆焼き肉、しゃぶしゃぶチェーン他ファミレスの肉料理などは、牛肉の自由化が実現していなければ口にすることはなかった料理だと確信します。

私は長い外国生活の中で客観的に日本を見続け、日本の素晴らしい面を多く知ることが出来、日本が世界の国々に対して比較優位を持っている点をいろいろ見てきました。

それは、海外から原材料を輸入して、それを製品にして輸出したり日本に合うように加工する能力です。これは文化面でもそうですが、それに関しては別の機会に述べたいと思います。

正に我々が日々享受している多くの牛肉関連の料理は今回のTPP加盟問題と同様に大反対を受けた牛肉自由化を実施した結果の産物なのです。

それ故、確かに大きな打撃を受ける産業もあると思いますが、それは日本だけの問題ではなく、野党、マスコミはいたずらに悲観論のみ煽ることをせず、TPPに加盟することによる現在マイナス面として捉えている部分をどうプラス面に転じることが出来るかという事をもっと議論すべきじゃないでしょうか?

まあ、毎度のことながらこの部分は国ではなく、我々民間ベースで考えた方がはるかに現実的でしょうが。




都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: ビジネス タグ: パーマリンク

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