癌との闘い-7(退院後の再入院)

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退院したのが土曜日だったので月曜日から会社に顔を出しまた。

しかし、声が殆どでない状態だったので、会社の皆にはメールと筆談で意思を伝えることしか出来ませんでした。

社員は皆私の事を心配してくれ、なるべく私に喋らせないように細心の注意を払ってくれました。

当時事務所は三ヶ所に分かれていました。

本社の社員とは声は殆ど出ませんでしたが、阿吽の呼吸と身振り手振りを交ぜて何とか意思の疎通を図り、他の事務所の社員たちとはメールの遣り取りで必要事項の確認をしていました。

しかし、11月末の経過観察で、エコー検査の結果左首リンパ節に怪しい細胞が残っている疑いがあることが判明したことを主治医に告げられました。

「えっ?だって中咽頭も左首リンパ節の癌も消失したから退院出来たのではないのですか?」

「まだ、何とも言えませんが、針で実際に怪しい細胞を取って検査してみないと分かりません」

と。

そして直ぐに左首リンパ節の怪しい部分の細胞の精密検査を行った結果、微量ながら消失していない癌細胞であることが確認されました。

主治医からは

「もし、この癌細胞が生きている癌細胞だとやがて増殖します。但し、放射線/抗癌剤の治療結果残った死んだ癌細胞の残骸である可能性もあります」

と言われました。 そして

「様子を見るという手もありますが、説明しました通り生きている癌細胞なら増殖します。放射線治療はもう限界までやっているので出来ません。左首リンパ節を取り除く手術しか癌細胞を取り除く方法はありません。手術範囲は放射線/抗癌剤の併用治療を受ける前に比べると小さくなっていますが、左手が肩より上に上がらなくなる事は覚悟して下さい

ということでした。

「・・・・・・・・・」

返す言葉が浮かばずにいたら

「無論、手術は細心の注意を払って行いますが、神経が集中している箇所なので」

という事でした。

心臓の鼓動が高鳴り 『何故消失したという事で退院したのに癌細胞が残っているのだ?』 ということで頭の中が真っ白になり、その先思考状態が停止したまま

「分かりました。お願いします」

と言うのが私には精一杯でした。

これで放射線/抗癌剤の併用治療に加えて今度は手術と言う癌の三大治療の全てを受ける羽目になるのだという思いが頭の中を巡りました。

自宅に戻って少し落ち着きいろいろ考えると幾つかの疑問と不安が頭をもたげてきました。

『退院できたのは中咽頭癌も左首リンパ節の癌も消失したからのはずであった』 『それなのに、なぜ左首リンパ節に癌細胞が残っていたのか?』『なぜ医師の言うように微量の癌細胞が残っていただけで、左首リンパ節を全摘出しなければならないのか?』

そして最大の不安点は

『医師は何か隠しているのではないか?』

ということでした。

つづく

都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: 癌との闘い タグ: パーマリンク

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