日本の現行の医療制度

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先日久し振りに知人の車を運転させて貰いました。
友人が助手席に乗っての約二年ぶりの運転でしたが、横浜から東京に向けて快適なドライブを楽しみました。

私の運転暦は、18歳で免許を取ってからずっと運転をしていました。しかし、中咽頭癌の手術を受けた後原因不明の眩暈が頻繁に起こるようになり、夜目が覚めて洗面所に行こうとしたら 気を失い そのまま後頭部を突起物にぶつけて倒れ、床一面が血だらけになったこともあります。

原因が、左首リンパ節を摘出した手術痕が硬くなって頭に上る血流が悪くなり瞬間的に血圧が低下して気を失う ということが分かるまでに数ヶ月の期間を要し、その間脳、心臓などの精密検査を行いましたが原因は分からず不安な日々を送りました。

主治医に運転中に意識が無くなったら事故につながる恐れがあるから、運転は当面控えたほうが良いと言われてからは殆ど運転から遠ざかっていました。

私が癌の治療を受けた病院では、脳も心臓も異常が無いと分かると、強い眩暈の症状は残っていても検査は打ち切りとなり、近くのクリニックを紹介されそこでフォローアップされます。

私の場合、二年半の間に身体のいろいろな部位に転移が疑われました。その都度、その部位の専門医局で精密検査を行いますが、転移の疑いが無いとなると提携先のクリニックに回されます。

私は小児科と産婦人科以外の殆どの医局を回りましたので、検査の結果で癌の転移が無く回されたクリニックは一般内科、循環器内科、泌尿器内科、整形外科、呼吸器内科、脳神経内科、放射線科、眼科他一週間で回りきれない数でした。

大病院は手術や複雑で高度な技術を要する治療を行い、そうでない場合は通常のクリニックが行うという日本の大病院と中小クリニックの住み分け制度は通常の場合はとても良く機能する制度だと思います。

例えば身体のひとつの部位の分かりやすい病気や怪我の場合、手術や高度な技術を要する治療は大病院で行い、その後のフォローアップは最寄のクリニックで行うという制度は合理的且つ効率の良いシステムです。

しかし、病気が 癌のように全身に関わる可能性がある場合は この制度は極めて患者にとって負担の大きいものとなります。

物事を進める上で きちっとした制度 が確立されていることは必要不可欠なことです。

しかしその制度が 硬直的且つ紋切り型 では、制度のための制度になりかえって実用的で無くなり不具合が多くなってしまいます。

日本では 官僚的 という言葉は制度に縛られ応用が利かない場合に使われることがしばしばありますが、正に現行制度は 官僚的制度 以外の何ものでもありません。

私は主治医には 『現行制度は現実的ではない』 と言いつつも、何とかこなしましたが、現実問題として お年寄りや身体の不自由な人達には 現行の医療制度に基づいて治療を受けることは 不可能な場合が多々あるのです。

ヨーロッパの旧社会主義国で 急患が運ばれてきた医師が手術を施す上で病院長に相談したら、病院長は党の幹部の許可が必要だと言って許可申請を出して返事を待っている内に患者は亡くなってしまった という、旧社会主義国の 官僚制を批判した たとえ話がありますが、現実に二年半現行の医療制度に基づいて医療を受け続けてきた私にとっては笑い話ではありません。

人の尊い命を与る医療の世界からでも、柔軟性の無い官僚制度から脱却して 運用面で柔軟性を持って対応すべきです。

都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: 健康 タグ: パーマリンク

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