癌との闘い‐5(抗癌剤と放射線の併用治療)

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放射線治療は癌細胞も消失させますが、周辺の細胞も影響を受けます。簡単に言いますと、口の中と喉が火傷をしている状態 になるのです。

また放射線が投射される箇所の皮膚の表面も熱を持ちます。私の場合は、基本的に朝夕二回の放射線治療を受けました。

ご多分に漏れず口の中は放射線治療の後に氷の塊を口に入れて冷やしたり、皮膚の表面の熱による痛みは、冷却材をタオルに巻いて首にあてて痛みを和らげるようにしました。

しかし、日を追うごとに口の中から喉にかけての放射線治療による痛みは増して行きます。自分ではかなり限界に近い痛みを感じていたときに不安になり主治医の診察時に

「もう痛みのピークは過ぎましたか?」

と質問したら、口の中から咽を診て

「大分ただれてきて辛そうですね。でも痛みのピークはこれからです」

と言われゾッとすると共にこれから更なる痛みに耐える事が出来るのかどうか不安になりました。

同じ治療を受けていた患者の中には、

「こんなに辛い治療なら受けないほうが良い」

という患者も一人や二人ではありませんでした。

同様の病と闘っている患者仲間達が次々と自力で食事が出来なくなり、鼻からチューブを通して栄養補給され、また放射線治療からもどってきた後は、ずっと冷却枕や冷却材をタオルで巻いたもので熱を持った皮膚の表面を冷やしながら、精気を失ったようにベッドに横たわっている姿を見るのは非常に辛いものでした。

しかし、自分もいつそうなるか分からないという恐怖感が頭から離れませんでした。

抗癌剤の影響で食欲がないところに放射線の影響で口から喉にかけて火傷状態になるのです。

食事の時間がくるのが憂鬱で仕方がありませんでした。

しかし

「患者の出来る仕事は自力で食べることだけ」

という主治医の言った言葉を繰り返し、繰り返し自分に言って聞かせました。

食事は軟食にしてもらいましが激しい痛みのため全く食べることができなくなってきました。食事の前には痛み止めの薬を服用し、更に咽を麻痺させるうがい薬でうがいをして痛みを和らげ、一食一時間から一時間半掛けて食べました。

しかし、抗癌剤で食欲が無く、放射線治療により口の中や咽が焼けど状態で、更に放射線治療が進むに連れ味覚が無くなり、何を食べても砂を噛むように全く味が分らない状態になっていきました。

唯一、多少味らしきものの区別がついたのは塩味だけでした。差し入れにプリンやアイスクリームを貰っても、それらの甘みを引き出すために含まれている少量の塩分の味のみを感じ取り、プリンやアイスクリームを食べても塩っ辛く感じました。

その他の味覚は全く無くなっていたのです。

放射線治療は、中一週間の中断期間を設け『三週間を1クールとするクールを2クール』受けました。放射線治療を受けるための治療室への往復やいろいろな検査のための移動も、何とか車いすで移動することなく自力で歩き続けることができました。

つづく

都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: 癌との闘い タグ: パーマリンク

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