マニュアル的な応対

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良く日常会話で

『マニュアル通りの・・・』

と、マニュアルという言葉が多用されます。

マニュアルとは一般的には、仕事の手順や手続きを記述した『要領』『手順書』、商品の『使用説明書』『取扱説明書』、更には企業理念やそれに基づく社員の行動規範、教育テキストなど

幅広い意味を持つとても使うのに便利な言葉です(笑)

過日近所のスーパーでの出来事です。

外国人の男性が商品を持って 誰も並んでいないレジで 会計をしようとした時、私はたまたまその男性の後ろに並んだのですが、レジの女性が

『大変お待たせいたしました』

と言いました。そして会計が399円だったのでその外国人は400円を出したところ、1円のおつりを渡して

『おつりを良くお確かめ下さい』

とごく一般的な応対をしていました。

すると、その外国人がちょっと意外そうな顔をして両手を肩ぐらいまで上げて、首をちょっとかしげたのです。

何を言うでもなく、その外国人はそのまま立ち去りましたし、レジの女性も何も気づくことなく私の会計を始めました。

普段から顔なじみの感じの良い女性で、私の後ろに並んでいる人もいなかったので、

『いま会計の時に外国人の人が不思議そうな顔をしていたのに気が付きましたか?』

と聞いてみました。

『いいえ、気が付きませんでしたが何か?』

と質問してきましたので、

『貴女は規則どおりの応対をしていて気が付かないかもしれませんが、誰も並んでいないレジで会計をするときに 『大変お待たせいたしました』 一円のおつりを渡して『良くお確かめ下さい』 と言ったら、本来は日本人同士でもおかしいけど、日本語の良く分からない外国人には何を言われているのか分からないと思いますよ』

と言いました。

するとそのレジの女性は

『有難うございます。全く何も考えずに言っていました。これから気をつけます』

と、とても向学心を感じさせる応対でした。

私はかねてよりこのマニュアル的な応対は、関係者全員が意思統一して矛盾の無い応対をする意味では重要だとは思いつつ、『臨機応変』 に使い分けなければ逆効果になる場合も多い と思っていました。

それを一番感じたのは二年半に及ぶ 闘病生活 を通してでした。

毎月転移が疑われて、疑わしい箇所の精密検査を一から行うことの連続でしたが、その間検査を受けなかった医局は 産婦人科と小児科だけ と言っても過言ではありませんでした。

癌の転移が疑われ精密検査が行われて結果が出るまで2-3週間。いろいろなことを考えて 精神衛生に悪い日々 を送ります。

そして、検査結果の報告を受けるために診察室に入るやいなや

『先生どうでしたか?!』

と、私のほうから聞くのが常でした。

しかし、患者の納得の行く説明をしてくれる医師もいましたが、大体の医師の応対は極めてマニュアル的な対応でした。

『検査の結果悪い病気は無いと思われます。詳しくは次回の経過観察のときに主治医から説明します』

『ということは、癌の転移は無かったということですね?!』

『悪い病気は確認されなかったということです』

『悪い病気ということは癌のことですね?!』

『悪い病気です』

そして二言目には

『詳しくは主治医から説明があります』

と。

このようなマニュアル通りの医師の発言が、医療現場で現実的になされているのです

私は、二年半の闘病生活を通して 現代の日本の医療体制 の優れた面と改善しなければならない面を多々見て来ました。

そして、本当の意味で患者の方に目の向いていない医師、または患者の立場を理解していない医師によって本当に患者の精神が癒されることは無いと確信し、 大病で苦しんでいる人達の支えになれるように 手記をまとめました。

しかし、日々病気を抱えて心身ともに苦しんでいる患者と医療現場で向き合う医師は、

自分たちが診ているのは 病んだ患部や臓器ではなく『心を持った人間』 という自覚を強く持つべきです。

そして、マニュアル通りの応対ではなく、患者一人一人の立場を重んじた所見を述べることが出来なければ本当の意味での診察では無いのです。

精神が癒されると肉体も癒される という基本的なことを忘れないで欲しいものです。















都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
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