『被爆』と『被曝』

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昨今 放射能汚染 と言えば福島原発の放射能漏れから生じた一連の汚染のことを指すのが一般的ですが、日本は66年前の昨日(8月6日) 人類史上初の原子爆弾投下 という空前の惨劇に遭遇し、広島市は廃墟と化しました。

引き続き投下された長崎市の原爆も含め 人類史上二度に亘り原爆を投下された 唯一の被爆国になったのです。

米国政府は、いまだ公式には 原爆投下の過ち を認めていませんが、良識ある米国人は100% 原爆投下の過ちを認め、中には原爆の投下は米国史に残る最大の汚点 だと言い切る人間もいます。

私が三井物産に勤務していた時代、プラント輸出 という産油国を中心とした世界に石油製油所や石油化学コンビナートを建設する仕事に従事していました。 

重工業メーカーが岡山、広島、福山などの中国地方に集中していたので、欧米パートナーの人達が来て広島に出張するときには、出来るだけ原爆ドームに連れて行く事にしていました。

多くは、自国で聞き伝えられていたことと全く違う事実を目の当たりにして、呆然とする人達が殆どでした。

良心のある米国人の中には、涙を流してその場にうずくまってしまう人 もいました。

投下直後は、広島市も長崎市も数十年間に亘り草木も生えないと言われた程だったと聞きます。

しかし現実は生命は力強くみなぎり、一年後には草木は萌え出て、10年後には原爆ドームが完成するまでになりました。

広島や長崎の場合は、核攻撃を受けた結果人々が放射線を浴びたので 被爆 したと言い、今回の福島原発の事故は核攻撃を受けた結果ではないので、同じ放射線を浴びた人も 被曝 したと使い分けています。

そういう私も 被曝者 の一人です。

2008年の8月に 中咽頭癌が左首リンパ節に転移したレベル4の進行癌 が発見され、9月から11月の2ヶ月に亘り、放射線と抗癌剤の併用治療を受けました。

その時浴びた放射線量は 総量72グレイ で、昨今報道で使用されている マイクロシーベルト という単位に換算すると 約7200万マイクロシーベルト の放射線を被曝しているのです。

これは報道されている一般論の 放射線量 からいうと、優に致死量を超えています。

放射線医学の世界的な権威の一人は、高線量率による 被曝 と放射線治療などの低線量率による 被曝 とはまったく質が異なるので混同してはならないと言っています。

この先生は 低線量率放射線療法 によって多くの 癌患者 を治して来ました。もし患者でなく、まったく健康な人に低線量率放射線効果を施した場合は、免疫機能が著しく高まり、がんの発生率が低下し、健康増進に繋がるとまで言っています。

他方、やはり免疫学の世界的な権威の一人は、 癌の治療に放射線治療を行うこと は、更に別の癌を誘発する可能性が高く、 患者は放射線治療を受ける事 は絶対に避けるべきだと断定しています。

この様に、 放射線治療分野に於ける世界的な権威と言われる学者の間でも全く異なる見解 が述べられているのです。

福島の原発事故の後に私に対して多くの人達から 被曝 に関する問い合わせがありました。

余りにも問い合わせが多かったので、ツイッターで日本語と英語で情報配信をしたところ、在日外国人の人達を始め多くの人達から喜ばれました。

新聞、テレビの報道も、 単に日常的に縁の無い放射線測量単位 などを述べるだけではなく、もっと具体的な例をあげ、国民が自ら判断できるような基準を示すこと が必要不可欠です。

余りにも漠然とした報道なので 風評被害 が拡大するのであり、明確な情報が開示されれば、それにより、現在の 風評被害 は、大幅に軽減すると確信します。













都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: 健康 タグ: パーマリンク

『被爆』と『被曝』 への2件のフィードバック

  1. Rumiko Hughes のコメント:
    以前一度広島を訪れた際、原爆ドーム等見てきました。受けた被害に伴う、独特の悲壮感に、それまでに経験した事のない、なんとも言い表せない重い沈鬱感を覚えました。

    7月頃に、日本政府は一般の被爆限度量の規定を引き上げましたよね。それも確か20倍に、、、。どんなバックグラウンドがあったんでしょうかねぇ。岩手県一関市は、ホットスポットと呼ばれる、線量の多い地域になっているんですが、心配です。具体的な検査方法、数値に関わる情報、日常生活での注意点等細かな指針が行政から漏れなく伝わる事を希望します。
  2. 都倉 亮 のコメント:
    国民を最も不安を駆り立てているのは、政府の発表している情報の信頼性についてでしょう。

    わが国は、人類史の中で空前の 高線量率による被曝 を二度も経験した国です。

    もっと情報をオープンに開示して、日本のためのみならず世界のために役立てるべきだと思います。

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