最後の絆

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日本に於いては、年間の自殺者がここ10年以上30,000人を下らないという痛ましい数字が公表されています。しかも最も多いのが50代、60代という私と同じ年代の人達なのです。

更にその最大の理由が 健康上の理由から来る将来への不安感によって精神的に追い込まれる結果 という調査結果が出ています。

現在日本における三大死因は癌、脳血管障害、心臓病です。

私はその内の二つを経験しました。


34歳の時に クモ膜下出血、 55歳の時に 中咽頭癌 を患い、双方の場合も助かる確率は低かったのですが 天命 により何とか生きながらえました。


なぜ 天命 というかと言うと、いずれの場合も頭の中で考えても助かる確率が余りにも少なかったからです。

『そのタイミングで発見されなかったら後が無かった状況での病気の発見』 『その分野に於いての最高権威の医師との出会い』 『難しい治療・手術の成功』 『高い確率で生じると言われていた後遺症/転移・再発が生じなかったこと』など数えたら、運が良いとか偶然などとは言えない大きな力 が働いたとしか思えないからです。

健康を回復してからは、天が私に新たな命を与えたのは、私の体験談を世の中に広め、同様の大きな病で苦しんでいて希望を失っている人達やご家族の人達の支えになることだと真剣に考えるようになりました。

その大きな理由の一つは、二年半の闘病生活を通じて 孤独 ほど人間を絶望に陥らせるものは無いと言う事をいやと言うほど味わったからです。

ある雑誌で著名な 癌治療の権威と言われている医師が、ある癌で亡くなった患者の事を次のように話していました。

『Sさんは私の所見を信じずに病院を転々とした結果手遅れになってしまった。何故大手企業の役員もしていたSさんがその様な判断の過ちを犯したのだろうか?』

と。

私はこの記事を読んだ時に、この 癌治療の権威 と言われているこの医師も、その他大勢の医師と同様 患者の置かれている精神状態 を全く理解していないと思いました。

癌を始めとする難病に追い詰められた人間の精神状態は 普通の精神状態では無い という根本的な認識が欠如しているのです。

普通の判断ができるなら、誰だってしています。

その 患者の弱っている心の面 を理解することなく幾ら治療技術が優れていても、私に言わせれば 本当に患者の心の支えとなる医師 とは程遠い存在だと思います。

私が人生の手引書の一冊として学生時代から何十回と繰り返し読んだデール・カーネギー(1888~1955)の著書『道は開ける』に、アメリカの医学の祖と言われるウィリアム・オスラー(1849~1919)の言葉を紹介しています。

ウィリアム・オスラーは、医者は、病む「臓器」ではなく、病んでいる「人」を診るのだから、人間に深い関心と愛が無ければ臨床医はつとまらない、と教えています。

心身とも疲弊しきっている患者の生と死を繋ぐ 最後の絆  は、医師の言動によって 繋がりもすれば切れもする ということを医師はもっと強く自覚して貰いたいものです。

私の 癌との戦い を通しての医師とのやりとりは、毎週水曜日のブログ の中で紹介して行きたいと思います。










ある医師の発言。

医師の言葉は生と死を繋ぐ最後の絆。

絆と言う日本語の言葉は単なる 繋がり という意味を越えた意味を持っている言葉だと思います。

都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: 健康 タグ: パーマリンク

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