王者の言葉

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王者の言葉には共通点があると思います。

それは、 『諦めなくて良かった』 ということを皆 異口同音 に強調していることです。

卑近な例をあげると なでしこジャパン の選手の面々、世界水泳の米国代表5冠達成のライアン・ロクテ、更に4冠を達しながらも今大会ではロクテの後塵を拝した感の強いマイケル・フェルプスなどが残した言葉が印象的でした。


なでしこジャパン が与えてくれた感動は今更言うに及びませんが、過去のワールドカップ、オリンピックでももう一歩と言うところでメダルに手が届かず、選手の多くがサッカーを専業に出来ず働きながらサッカーを続けた結果 掴んだ栄光 でした。


ロクテ選手は常にフェルプス選手の陰に隠れた主役になれない存在でした。しかし、諦めることなく日々猛トレーニングを積んで今大会の主役に躍り出たのです。

フェルプス選手は2008年の北京オリンピックで史上最多の8冠を達成した後、目標を失っていた日々が続いたと言います。今年になってから練習に集中し始めたものの、最盛期にこなしていた週に8万メートルの練習量の半分程度だった様です。

記録も伸びず、その間ライバルたちはどんどん力をつけてきて、

フェルプスは過去の人間』

などと公言してはばからなかった選手もいました。


そして、二つの金メダルは獲得したものの、ライバルのロクテ選手との直接対決と注目された200メートル自由形と200メートル個人メドレーでは両競技ともロクテ選手に遅れを取り銀メダル。

苦しんでいるなか迎えた100メートルバタフライの決勝の直前に見た、女子200メートル背泳ぎを制した16歳のフランクリン選手の泳ぎに刺激を受けたと言います。

フェルプス選手曰く

『自分の昔を見ているようだった。いつもエネルギッシュで、レースを楽しんでいたころを。』

そして三つ目の金メダルを獲得した後しみじみと

『諦めないで良かった』

と。

私は王者たちとは違う意味でこの

諦めない

という言葉を座右の銘の一つにしています。

私は二年半に及ぶ癌との闘病生活で毎月の経過観察で癌の転移が疑われた時期が続き、心身とも疲弊しきった状態に陥りました。

昨年の夏ごろはそういう心身の状態に加え、気象庁始まって以来の猛暑の影響で物が食べられなくなりました。

10日間ぐらいは固形物が全く食べられずジュースなどの水分補給だけで過ごし、徐々に減っていた体重が更に激減して70キロ有った体重が55キロを切るまでになりました。

ベッドからも身体を起こすのが難儀になり、一つ一つ 物事に対する欲 が無くなっていくのが分りました。そしてつくづく思いました。

『人間とは、こうやって一つずつ欲が無くなっていき、最後に 生きる という事に対する欲を失った時に死を迎えるんだな』

と。

そういうどん底の日々の中である日、昔から心が挫けそうになった時に心の励みにしていた孟子の言葉が鮮やかに蘇りました。

『天が重大な任務をある人に与えようとする時には、必ず先ずその人の精神を苦しめ、その筋骨を疲れさせ、その肉体を飢え苦しませ、その行動を失敗させ、行おうとする意図と食い違うようにさせるものだ。これは天がその人の心を発奮させ、性格を辛抱強くさせ、出来なかったことを出来るようにさせるための試練である』

それまでとは違った形で心の中に染み入りました。

そして、私に立ち直りのきっかけを与えてくれた言葉の一つでした。

本当に 諦めなくて良かった と思います。










都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
カテゴリー: スポーツ タグ: パーマリンク

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