ノルウェーの森

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東日本大震災と福島原発事故を教訓に、ドイツ政府は2022年までに全ての原子力発電所を廃止するための一連の法案を閣議了承しました。

今後は陸上・海上風力発電の大幅拡大、送電網の拡充、天然ガスによる火力発電の能力増大などを行っていくとのことです。

今回の震災の当事国でも無く地震の無い国のドイツがいち早く 脱原発 に動いたことにはいささか驚きました。

しかし、このドイツの動きを見て幼い頃ドイツで学んだ格言を思い出しました。

子孫に大森林を残す 

という格言です。

日本には 子孫に美田を残す という格言があり、言っている事は同じですが、大切な事はその言葉ではなくその言葉を実行に移すかどうかだと思います。

私が昨年まで21年半に亘り経営していた会社は、 ヨーロッパのモダンカジュアル家具を、ヨーロッパのオリジナリティーを損なうことなく、日本の居住空間とライフスタイルに合うようにデザイン、生産、輸入、販売 する会社で、その分野では日本を代表する会社でした。

代表的な商品として グランビック という商品があり、1997年、1998年と二年連続グッドデザイン賞を受賞して年間約3万セット販売されていました。


当社の家具は北欧の良質な木材をふんだんに使っていました。

当時日本では東南アジアで乱伐された南洋材を使った家具が巷に溢れていました。しかし、当社は世界の異常気候の一因と言われている熱帯雨林の乱伐から取れる安い木材は一切使用しませんでした。

我々が使用していた木材は、北欧の計画植林で育成され伐採されたものでした。

一本の木を伐採するのに二本の苗を植えて子孫に大森林を残す

という夢に満ちた壮大なる計画に基づいて伐採されたもののみを使用していました。




私は長年に亘り年間数回は北欧の家具メーカーを訪問していました。多くのメーカーは当社のデザインした家具を生産するOEMメーカーでした。

空港からメーカーに向かうまでに数十キロに亘り道の左右に密集している 白樺の大森林は、息を呑むほど壮観な風景です。

正に 子孫に大森林を残す という壮大なプロジェクトが実践されているのを実感します。

また、スウェーデン、デンマークの海外沿いを車で旅すると、膨大な数の風力発電用の風車が林立しています。あたかも風車の森のようです。

綺麗なエネルギーを残すと言う意味でやはり 子孫に大森林を残す プロジェクトなのです。

北欧の白樺の大森林に囲まれた道を走る時や海岸線に立ち並ぶおびただしい数の風車を見るにつけ思い出したのは、若き日の頃好きだったビートルズの ノルウェーの森 の美しいしらべでした。

I once had a girl, or should I say, she once had me…

She showed me her room, isn’t it good, norwegian wood.

今後の日本の原子力発電に関する政策は、子孫に美田を残せるかどうか
の重要な決断を伴います。

そしてその決断を下すには は待ってくれません。

国難の時こそ本当のリーダーシップを発揮できるリーダーが必要なのは古今東西変わっていません。

And when I awoke, I was alone, this bird had flown.

So I lit a fire, isn’t it good, norwegian wood.

歌のように目が覚めたら 鳥は既に飛び立っていた(大切なものを失っていた) ということには絶対になってはならないのです。















都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
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