食欲

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露が明けたと思ったら猛暑の連続で、テレビや新聞でも連日熱中症に注意するように呼びかけています。

暑さのために食欲が無い方も多いのではないでしょうか?

私の場合は、この暑さの中で人が驚くほど食欲旺盛です・・・笑。

その理由は単純で、今年の一月までの2年半の間忘れていた食欲というものを取り戻したからです。



2008年の8月に中咽頭癌が左首リンパ節に転移したレベル4の進行癌が発見され、治療方法は手術か放射線/抗癌剤の併用治療しかないと診断されました。

しかし、その段階で手術をすると身体の機能を最低50%失うと言われ、選択の余地も無いまま二ヶ月間入院して放射線/抗癌剤の併用治療を受けました。

結果的にはその後手術も受ける事になったのですが、手術の事に関してはまた別途書かせて頂きます。

放射線治療は、癌細胞も死滅させますが、周辺の健康な細胞も大きなダメージを受けます。現在はよりピンポイントで癌細胞のみを死滅させる放射線治療も開発されていますが、まだまだ一般的な普及には至っていません。

私の場合は放射線治療で味覚を失いました。正確に言うと『塩味』だけしか分からなくなったのです。

入院中もお見舞いにアイスクリームやプリンなどの差し入れがあっても、それらの食品の中に含まれている塩分だけ舌が感知して

『このアイスクリーム塩っ辛いね』、『何でこのプリンは塩味なの?』

などと言っていました。

今考えると、当時平静を装ってくれていたお見舞いに来て下さった人達も、内心はかなり『引いていた』のではないでしょうか・・・笑。

去年の暮ぐらいには漸く『塩味』、『甘味』、『苦味』、『酸味』の大雑把な区別はつくようになりました。

しかし、例えばカレーを食べたらカレーの香辛料の辛さ、酢の物を食べたら酸味だけが突出して感じられ、全体の味は分からない状態でした。

人間味覚が無くなると物を食べると言う意欲がなくなります。

私はもともと『食いしん坊』で、美味しいものを食べることが人生の楽しみの一つで、自分でも結構料理を作ったりもしていました。

しかし、二年半の間はかつての行きつけの店にも行かなくなりました。余りにも味が違って悲しくなるからです。キッチンにも冷蔵庫に物を取りに行く以外は立ち入る事はありませんでした。

食物は『生きるための餌』に過ぎない日々だったのです。

そういう状態の中、昨年は気象庁の観測が始まって依頼の猛暑でした。健常者でも体調を崩す人の数が記録的だったと報道されていましたが、私の場合も身体が食物を全く受け付けなくなりました。

去年の7月、8月は固形物が殆ど食べられなくなり、一番酷い時は10日間固形物は身体が受け付けず、野菜ジュースを中心とした流動食のみしか口に出来ない状態でした。

体重も15キロ減り、いよいよ『死』というものが直ぐそこまで来ていると信じていました。

晩秋に神戸にいる息子に会いに行きました。心の中では息子に会えるのも年内一杯で、来年はもう会えないと思い会いに行ったのです。

結果的に、神戸で息子に連れて行って貰ったイタリアンで食べたピザが『味覚』を取り戻したきっかけでした。

今年になり味覚は急速に回復して、今では全盛期の80%ぐらいは回復しました。

かつての馴染みの店にも徐々に顔を出しお店の人達との再会を喜びつつ美味しいものに舌鼓を打てる喜びを噛締めています。

また、この猛暑の中、長らく立ち入らなかったキッチンにも頻繁に入って、写真の様な手作りのロースとビーフ、パン、ケーキ、ピザなどいろいろな料理を作って幸せを感じています・・・笑。







都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
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