応用問題

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日本人学生の学力が国際的な評価で相対的に低下していることが良く報道されます。

その中の一つの指針となっているのが、経済協力開発機構(OECD)が実施する世界57カ国・地域の40万人の15歳男女(日本では高1)を対象とした学力調査結果です。

私は単純なテスト結果の他国との比較より、日本人学生の数学、科学の応用力が低下していることを問題視すべきと思います。



なぜなら、本来学問で一番大切な事は、学んだことを自分の頭で考えて応用することだと思いますが、日本の子供の弱点は自分の頭で考える『応用力の欠如だ」』ということが学力調査の結果で出ているからです。

日本では『詰め込み教育』から子供にもっとゆとりを持たせた教育を行うべきということで、2002年の春から現行の学習指導要領が施行されたましたが、結果的に子供達の学力低下に歯止めがかからず、いろいろ場当たり的な対策が施されています。

しかし、私は子供の学力は『詰め込み教育』であろうが『ゆとり教育』であろうが、子供が本当に勉学をしたいという気持ちにさせる教育で無い限り学力低下には歯止めはかからないと確信します。

私はドイツのアメリカンスクールで12歳の時に微分、積分を学びました。

きっかけはとても単純なことでした。

ある日数学の授業で教師が

『君達。夜空に弧を描く花火の面積を計算する方法は分かるかい?』、『君達には吸って欲しくないけど、タバコを吸っていくとニコチンが蓄積していく量を計算する方法は?』

『分からないよね。だって今まで習った計算方法では計算できないのだから』

すると一人の生徒が手を挙げて

『どうすれば分かるのですか?』

と質問しました。

『それは、希望者に僕の別のクラスで教えて上げるよ』

と先生はウインクをしました。

私は先生の説明のしかたにとても興味を引かれたので、微分とか積分などの知識は全く無かったのですが、その先生の別のクラスを受講する手続きをとりました。

そのクラスは私と先の授業で手を挙げて質問した生徒二人だけのためのクラスでした。

もう一人の生徒は、その後若くしてアメリカの名門大学の教授になった類稀なる秀才でしたが、才能のある生徒を伸ばす為のいろいろな試みが若い段階から施されているカリキュラムにはとても感心しました。

そしてそこで常に重要視された事は、習ったことを如何に実際に応用出来るかということでした。

私はその生徒のお陰で棚から牡丹餅みたいな感じで、微分、積分を学ぶことが出来ましたが、興味があればその生徒の意欲を尊重して指導をするという教育方針のお陰で、型にはまらないいろいろな教育を受けることが出来ました。

ひるがえって帰国して高校受験に臨むに当たって行った勉強はひたすら物を暗記することが中心でした。

生徒が一番嫌いな科目の一つが数学で、その中でも微分、積分はその代表的なものでした。

それはそうです。単に膨大な量の数式を暗記して問題を解くだけでは余程のことが無い限り興味が湧くはずがありません。

同じ積分を学ぶにしても、夜空に弧を描く花火を思いながら解く積分と

∫x・cos(x) dx = x∫cos(x) dx -∫{(dx/dx)(∫cos(x) dx)}dx =x・sin(x) -∫sin(x) dx

の様な数式を丸暗記を強いられる積分では、学ぶ方の興味の度合いは大きく異なります。

何事も興味を持てば強制されなくても自主的に行うものだと確信します。

子供の学力アップは『詰め込み教育』、『ゆとり教育』ではなく、どうしたら子供達が興味を持つ教育ができるかと言う事に主眼を置いた教育にかかっていると思います。









都倉 亮 について

1953年生まれ。幼少の頃11年ドイツで過ごし、アメリカンスクールに学ぶ。慶大卒後三井物産に13年勤務。その後会社経営を経て現在執筆を中心に活動。日本の素晴らしい面、世界基準に変えねばならない面を長年の海外生活で培った目で発信して行きたいと思います。
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